MENU

コープリンという物質はヒトフェロモンの1つなのか?

人にフェロモン物質があるようなら、フェロモンを含む香水を製作したら買って貰える……一般人であっても閃きと思われる着想ですが、それが実物の存在になったことはそうそう過去のことではないはずです。

 

当たり前のことですが、フェロモンという名の単語が作り上げられる以前にこういったテーマは存在しようがありませんし、さらに他方でその表現ぼんやりした感覚であっても、いくらかは一般人に周知されていないと、製品化したところで売ることができないということです。

 

 

シュテファン・イェリネックと呼ばれる、調香師の実績も見られるといった香料の研究家によると、フェロモン香水物語の第一幕は、1970年頃初期に「コープリン」と称される成分がヒトフェロモン候補物質という立場で取り上げられたことにより明らかになったといいます。

 

期待通りと言うことが当然か、直ぐにそれを使用した香水の特許が取られて製品化されたみたいです。

 

それがヒトフェロモン香水の嚆矢という点となります。

 

 

自分自身はその香水の芳香を嗅いだことはありませんが、最低限でもこのコープリンという名のものがあんまりいい匂いじゃないということは予想がつきます。

 

と申しますのも、コープリンは女性の膣の匂い成分を解析して獲得できた情報を基に、この匂いを手直ししたものだからです。

 

膣臭気の中で、酢酸とか酪酸、イソ吉草酸というような炭素数が少ない低級脂肪酸だけを取り出して、解析そのままに調合芳香成分単品をミックスしたもので、お世辞にしても「香り」と呼んでもいいレベルのものじゃありません。

 

 

どうしてはたまた膣の匂いがフェロモン候補物質であるのかと言いますと、アカゲザルの雌の膣臭気がフェロモン成分みたいに作用しているということが明白にされているからです。

 

アカゲザルは元々は生殖について嗅覚に左右されることが多くない種と定められていましたが、排卵期に膣臭気の内の脂肪酸が普段の倍になって、その強まった匂いが雄に生殖情報の役割を果たしているということが明確になりました。

 

雄のアカゲザルはその臭気に魅きつけられるみたいに、排卵期だと交尾の発生率が増加するのが観察されています。卵巣を摘出された雌はその臭気を作り出さないから、雄を魅きつけることが難しいわけですが、エストロゲン(女性ホルモンの総称)を投与すれば加速度的に匂いを改善することで、性ホルモンがこのような匂いの創出に関係していることが有り得るというわけであります。

 

 

その排卵期にアカゲザルの膣より発せられる揮発性低級脂肪酸の組成にだいたい似通った匂いが、人の膣臭気を調査した結果見い出せたから、サルで適用されるのであれば人類であろうとも効果的であるというような着想でその匂いを香水に合せて「フェロモン」と名付けたわけなのであります。

 

 

人類がアカゲザルと同じ様な行動パターンを見せたといった検証結果は、もちろんですが公表されていません。

 

「類推」と、ほとんどのケースで「想像力」が生んだ製品と考えていいでしょう。アカゲザルそのものだって、全体の雄が常に似通って作用することはなく、個体差が広いのがそれからの研究で指摘されています。

 

すなわち、雌が排卵期であって、そういうわけで交尾を受けやすいタイミングだということの目安としては感知するのですが、それのみで交尾行動に移行するわけじゃないというのであります。

 

別の感覚まで総動員して、自らと比べて上の階級の雄がすぐそこにいるのか、または別の危険性が近付いているかというような情報を収集しつつも、トータル判断にして活動に移行するというわけです。

 

裏を返せばカイコガはそういったことを把握できるくらい脳が発達していないため、フェロモンを感じたのならがむしゃらに邁進するに過ぎないのであって、高等動物にあるフェロモンの機能がそんなにシンプルなものでないというのがそうした比較を通しても認識できるでしょう。

 

 

コープリンを利用して人の精神とか生理に与える影響を調査する研究まで計画され、その匂いに曝された男性の唾液中のテストステロン濃度が増したり、女性に向けての値踏みが緩くなるというような結果まで提唱されたのではありますが、まったく変容も現われなかったと結びつけるものもあり、今日ではコープリンを人間のフェロモンと決めてかかる状況について後ろ向きな見解が大半を占有しているみたいであります。

このページの先頭へ